ドクターブログ

MTAセメントという覆髄材

 普段のカリエス治療の中で虫歯を取り除く際に、大きく穴が開き歯髄が露出することがよくあります。このような場合、抜歯するか直接覆髄するかについて毎回悩むものですが、私は「最良の根管充填材は患者自身の歯髄である」という信念のもと、MTAセメントを用いた直接覆髄を積極的に行っています。
最近、ネオ製薬工業から、「キャビオス」という光重合型裏層材の改良版である「D-キャビオスMTA」が発売され、試用する機会を得ました。元のキャビオスは、歯の硬組織成分であるα-TCPと混ぜ合わせた材料で、生体親和性が高い素材ですが、露髄した場合は使用できませんでした。 しかしながら、D-キャビオスMTAは、a-TCPの代わりにMTAを含有しており、新製品として直接覆髄材として承認されています。偶発的な露髄に直接覆髄を行う場合、ラバーダム防湿と止血が必要であることに留意し、露髄面が2mm以内である場合に成功すると考えられます。作業環境が整ったら、歯髄に圧力をかけないように生理食塩水で洗浄消毒し、止血後に適量を充填して硬化させます。他のMTA製品よりも硬化後に硬さを感じ、曲げ強さや圧縮強さなど十分な強度があることが確認されました。また、高いX線造影性も持っています。



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